中央列欠指症について

中央列欠指症は手の中央の指や組織が欠損する疾患です。病名ではその見た目から裂手症と命名されていますが、発生機序からは指列誘導障害の一つと捉えられています。

 

赤ちゃんの手の発生においては、まずえらのような手板ができて、それから指に分かれていきます。

この過程を簡単に説明します。手板の中には細胞が密集していますが、1~5組に分かれなさい、と号令が下ると、細胞は5つの列を成すように集まります。そして列と列のあいだが無くなっていき、母指から小指となっていきます。

 

この指列誘導の過程で、もし3組の細胞が2組や4組にいってしまったら、もともと3組となる部分が無くなってしまいます。

それが中指の欠損となります。

 

実際に、X線では示指または環指の骨は太くなっています。これは中指となるはずであった細胞が示指や中指に移行した結果と推定されます。

 

この指列誘導障害では手に裂ができるだけでなく、合指や多指、屈指、横方向や斜めの骨などを合併します。

第1指間が狭いことが多く、赤ちゃんは手の裂の部分でものを把持する傾向があります。

 

発生率は手の先天性疾患の中でも少なく、9万人に一人とされています。

こどもの手の専門家でも、治療を経験している医師は非常に限られます。

 

 

治療は主に整容面の改善を目的に行われます。第1指間が狭い場合には、母指と示指でのつまみ動作や把持を獲得するために骨切りなどが行われます。

 

中央列欠指症(裂手症)の手術とその経過について

手術は通常1歳以降の幼少時に行われます。組織欠損が少ない場合には皮膚の無い部分を閉鎖する手術が行われます。組織欠損が大きく、示指と環指が大きく離れてしまう場合には、中手骨の骨切りによる示指の中央方向への移動や腱を用いて引き寄せる手術を行います。この場合、移動の妨げとなる骨は切除されますが、関節の安定性に関与する骨は温存することになります。

中学生まで未治療であった中指列欠損の患者さんです。ご本人のご厚意で掲載しています。

環指と小指は大きく離れています。

整容的な改善を目的に受診されましたが、今の手に慣れておられるため、手術によってこれまでと異なる手の感覚となることが心配されました。手術は骨切りによる指列移行を行いましたが、術後は数か月で違和感が無くなり、自由に使えるようになりました。