足の多指症や合指症について

足の多指症や合指症は、趾(あしゆび)という漢字を用いて、それぞれ「多趾症」「合趾症」と呼びます。内側(母趾側)を軸前性、外側(小趾側)を軸後性と呼びます。軸後性多趾症を外側列多合趾症と呼ぶこともあります。

 

最も頻度が低く、治療が難しいのは軸前性多趾症です。

母趾の多趾症には骨端線の異常を伴うことが多く、母趾の内転変形が生じます。

軸前性多趾症については、治療経験の豊富な医師による治療が望ましいです。

 

 

本邦で最も多いのは軸後性多趾症です。 外側の3本のあしゆびが合趾となる場合が最も多く、趾の再建と趾間の形成を同時に行います。

 

合趾症は2番目と3番目のゆびの間に生じることが多く、ゆび先までの場合や、半分程度まで分離されている場合があります。いずれもみずかきを皮弁で作成し、ゆびの側面に植皮術を行います。

 

みずかきの上昇を生じることがあるため、スポンジ圧迫などの後療法を行っております。

 

多趾症

母趾から数えて、4番目、5番目、6番目のあしゆびを認める場合を軸後性多趾症といいます。

主に5番目と6番目の間に合趾症を伴います。

4番目と5番目の間にも合趾症を伴いますが、ゆび先まで合趾となる場合や、半分程度合趾となる場合など、程度に違いがあります。5番目のあしゆびを切除し、6番目のあしゆびを再建する手術を行います。

外側に向く太い趾になりやすいため、骨や皮膚の処置が必要となります。趾が短い型もあります。術後はみずかきが上昇する可能性があるため、後療法を推奨しております。

合趾を伴わない6番目の多趾症については、主に6番目のあしゆびの切除を行います。

 

 

中節骨より遠位に多趾を伴う症例です。5番目を切除し、6番目のあしゆびを再建します。

手術後はスポンジ圧迫やテーピングを行い、みずかぎの上昇や外転変形を予防しています。

2番目のあしゆびに多趾症を、3番目のあしゆびとの間に合趾症を伴う症例です。

内側に傾いた第2趾を真っすぐに矯正します。


合趾症

主に2番目のあしゆびと3番目のあしゆびの間が多く、短冊状の皮弁でみずかきを作成し、あしゆびの側面に植皮術を行います。皮膚の採取(採皮部)は足の内側から行います。

 

右足に軽度な合趾症を、左足に爪の基部までの合趾症を認めます。術後にはスポンジによる圧迫を行い、深いみずかきを維持します。

2番目、3番目、4番目のあしゆびの合趾症です。このような3本以上の趾の合趾症に対しては、2回に分けて手術を行うことが多いです。一度に分離すると中間のあしゆびの血流低下を生じるリスクがあるためです。

同様にスポンジ圧迫を行います。

植皮用の皮膚は足の内側から採取します(「整容性を高める皮膚外科技術」参照)。